秋の味が広がる北海道の味覚、落葉きのこ。
収穫したての新鮮なきのこを前にして、「この後どうすれば良いのだろう?」と悩んでいませんか。
特に天然きのこは、スーパーで売られているきのことは違い、その下処理に少しコツが必要です。
いざ見てみると「キノコが虫だらけだったらどうしよう…」「きのこの虫は食べても大丈夫なのかな?」といった不安や、「天然きのこの洗い方はこれで合っているのか」という疑問が湧いてくるかもしれません。
この記事では、北海道で「落葉きのこ ボリボリ」とも呼ばれ親しまれているこのきのこの、虫だしから正しい洗浄方法、さらには天然たもぎ茸の下処理にも応用できる知識まで、丁寧に解説していきます。
- 落葉きのこの特徴と下処理が必要な理由
- 塩水を使った効果的な虫だしの具体的な方法
- 風味を損なわずに美味しく食べるための処理のコツ
- 下処理後のきのこを長持ちさせる正しい冷凍保存術
失敗しない落葉きのこ下処理の全手順
- 石づきは手で簡単に取り除く
- 天然きのこの洗い方の基本ポイント
- 虫を追い出すための塩水濃度と時間
- 風味を活かすなら下茹では不要
- 下処理後は冷凍保存が便利
工程 | ポイント | 所要時間目安 |
---|---|---|
1. 石づき処理 | 硬い部分や土が付いた部分を手でちぎる | 5分 |
2. 虫だし | 海水程度の濃い塩水に浸ける | 15分~30分 |
3. 洗浄 | 流水で優しく、傷つけないように洗う | 5分~10分 |
4. 保存 | カットして水気を切り、小分けで冷凍 | 10分 |
石づきは手で簡単に取り除く
きのこの石づき(根元の硬い部分)を取り除きます。落葉きのこの石づきは比較的柔らかいため、包丁を使わなくても手で簡単にちぎることができます。
土が付いている部分や、触ってみて明らかに硬いと感じる部分を境に、ポキッと折り取るようにして除去してください。この部分は食感が悪く、美味しくないので必ず取り除きましょう。
虫を追い出すための塩水濃度と時間
天然きのこの下処理で最も重要な工程が「虫だし」です。これは、塩の高い浸透圧を利用して、傘の内部や茎の中に隠れている虫を外におびき出す作業です。
塩水づくりの黄金比
- 塩水の濃度:海水程度の塩辛さが目安です。具体的には、水1リットルに対して、食塩を大さじ2杯(約30g)程度溶かしてください。
- 浸ける時間:きのこを塩水に完全に浸し、15分から30分ほど置きます。時間が経つと、小さな虫が水面に浮いてくるのが確認できます。
この作業は、大きめのボウルやビニール袋を使うと便利です。きのこが浮いてきてしまう場合は、上からお皿などを乗せて重しにすると良いでしょう。
天然きのこの洗い方の基本ポイント
虫だしが終わった落葉きのこは、流水で優しく洗い流します。このとき、強い水流を当てると傘が崩れたり、傷ついたりするため、注意が必要です。ボウルに水を張り、その中で一本ずつ丁寧に揺するようにして、松葉や土などの細かなゴミを取り除いていきましょう。
きのこは水分を吸収しやすいため、長時間水にさらし続けるのは避けるのがポイントです。手早く、しかし丁寧に作業を進めることを心がけてください。
風味を活かすなら下茹では不要
下処理に関して、「下茹ですべきか?」という疑問を持つ方も多いですが、落葉きのこは下茹でしない方が風味豊かに仕上がります。
特に、きのこ本来の香りやぬめりを楽しみたいお味噌汁や鍋物にする場合は、下処理を終えたきのこをそのまま調理に使うのがおすすめです。
ただし、炒め物や和え物など、きのこのぬめりを少し抑えたい料理に使う場合は、沸騰したお湯で1分ほどサッと湯がくと、扱いやすくなります。
用途に応じて使い分けるのが良いでしょう。
個人的には、あのトゥルンとした食感が落葉きのこの醍醐味だと思うので、ほとんど下茹でせずに使っています。特にきのこ汁は絶品ですよ!
下処理後は冷凍保存が便利
一度に食べきれない量の落葉きのこが手に入った場合は、下処理を済ませた後に冷凍保存するのが最もおすすめです。
きのこは冷凍することで細胞壁が壊れ、うま味成分が出やすくなるというメリットもあります。
冷凍保存の簡単ステップ
- 味噌汁用、炒め物用など、使いやすい大きさにカットします。
- キッチンペーパーで表面の水分を優しく拭き取ります。
- 1回で使う分量ずつ小分けにして、空気が入らないようにラップでぴったりと包みます。
- 冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いてから冷凍庫で保存します。
このようにしておけば、約1ヶ月ほどは美味しく保存が可能です。調理する際は、解凍せずに凍ったままの状態で加熱調理するのが、食感を損なわないコツです。
落葉きのこ下処理の基本と虫だしの知識
- 落葉きのこは北海道で採れる秋の味覚
- 「落葉きのこ ボリボリ」の愛称と特徴
- 天然キノコが虫だらけになる理由
- きのこの虫は食べても大丈夫か解説
- スーパーのきのこに虫だしは必要?
- 天然たもぎ茸の下処理への応用
- 正しい落葉きのこ下処理で旬を味わう
落葉きのこは北海道で採れる秋の味覚
落葉きのこは、正式名称を「ハナイグチ」と言い、北海道や本州のカラマツ林で見つけることができる、秋の代表的なきのこの一つです。
主に9月中旬から10月中旬頃が収穫のシーズンとされています。
このきのこはカラマツの木と共生関係にあるため、カラマツの落ち葉(落葉)が多い場所に発生することから「落葉きのこ」という通称で広く親しまれています。
秋の森からの贈り物として、多くの人々に愛されている味覚です。
豆知識:なぜカラマツ林に生えるの?
落葉きのこ(ハナイグチ)は、「菌根菌(きんこんきん)」という種類のきのこです。これは、特定の樹木の根と共生し、お互いに栄養を交換して生きていることを意味します。落葉きのこはカラマツと非常に強い結びつきがあるため、カラマツ林を探すことが見つけるための最大のポイントになります。
「落葉きのこ ボリボリ」の愛称と特徴
落葉きのこは、地域によっては「ボリボリ」や「ラクヨウ」といった愛称で呼ばれることもあります。
特に「ボリボリ」という名前は、調理した際の独特の歯ごたえや食感から来ていると言われています。
このきのこの最大の特徴は、傘の表面にある強いぬめりです。
このぬめりが、土や枯れ葉、松葉などを吸着しやすいため、下処理が非常に重要になります。
また、傘の裏側がヒダ状ではなく、スポンジのような細かい網目状になっているのも特徴の一つで、「アミタケ」と呼ばれるきのこの仲間であることを示しています。
天然キノコが虫だらけになる理由
山で採れたきのこに小さな虫が入っているのを見て、驚いてしまう方もいるかもしれません。しかし、これはごく自然なことです。
きのこは、キノコバエをはじめとする多くの昆虫にとって、絶好の産卵場所であり、栄養豊富な食料でもあります。
むしろ、虫が好んで集まるということは、そのきのこが美味しく、新鮮である証拠と考えることもできます。
殺虫剤などが使われていない、自然のサイクルの中で育った証なので、過度に心配する必要はありません。正しい手順で虫だしを行えば、問題なく美味しくいただけます。
きのこの虫は食べても大丈夫か解説
「もし虫を取り除ききれずに食べてしまったら?」と心配になるかもしれませんが、きのこに付着している小さな虫は、一般的に人体に害はないとされています。
ただ、気持ちの良いものではありませんし、ごく稀にアレルギー反応を示す可能性もゼロではないため、下処理の段階で可能な限り取り除くことが推奨されます。
これから解説する塩水を使った虫だしを行えば、ほとんどの虫を外に出すことが可能です。
注意点
きのこの種類を正確に同定できない場合は、絶対に食べないでください。きのこ狩りには専門家と同行するか、確実に知っているきのこだけを採るようにしましょう。食中毒のリスクは虫の比ではありません。
スーパーのきのこに虫だしは必要?
一方で、スーパーマーケットで販売されているエノキダケやシメジ、ナメコといったきのこは、衛生管理が徹底された屋内の施設で栽培されています。これらは無菌に近い環境で育てられているため、基本的に虫がつく心配はありません。
そのため、スーパーで購入した栽培きのこについては、虫だし作業は不要です。根元の石づきを切り落とし、軽く汚れを払う程度で調理に使用できます。
天然たもぎ茸の下処理への応用
今回ご紹介する落葉きのこの下処理方法は、他の天然きのこにも応用することができます。特に、青森県などで「サモダシ」として知られる天然のタモギタケのように、ぬめりがあったり、傘の裏がスポンジ状であったりするきのこには非常に有効です。
基本的な考え方は「塩水で虫を出し、水で優しく汚れを洗い流す」というものです。この手順を覚えておけば、様々な天然きのこに対応できるようになります。
正しい落葉きのこ下処理で旬を味わう
この記事では、落葉きのこの下処理について、基本から応用までを網羅的に解説しました。最後に、美味しく安全にいただくための重要なポイントをリストでまとめます。
- 落葉きのこは北海道などで採れる秋の味覚
- 正式名称はハナイグチでカラマツ林に発生する
- ぬめりが強くボリボリとした食感が特徴
- 天然ものには虫や土などの汚れがついている
- 虫はきのこを好む昆虫で自然なこと
- 下処理の最初は塩水を使った虫だしから始める
- 塩水濃度は海水程度を目安にする
- 塩水に15分から30分ほど浸けておく
- 洗浄は流水で優しく丁寧に行う
- 石づきは硬い部分を手でちぎって取り除く
- 風味を活かすなら基本的に下茹では不要
- 味噌汁や鍋物には下処理後そのまま投入できる
- 長期保存する場合は下処理後に冷凍するのが最適
- 冷凍する際は使いやすい大きさにカットしておく
- 調理する際は凍ったままの状態で加熱する
- 種類のわからないきのこは絶対に食べない
コメント